離乳食が進んでくると、食事のリズムや量以外に新たな困り事が出てきます。なかでも保護者の悩みとして多いのが、「あそび食べ」と「食べない」こと。
「あそび食べ」とは、食べ物をぐちゃぐちゃにしたり、食事中に席から離れて食事に集中しなくなったりすることです。「食べない」悩みには、好き嫌いのほか、少食も含みます。成長にかかわることなので、保護者としてはなんとか食べてほしいと願いますが、その思いが強すぎて、子どもの食べる意欲がなくなったり、楽しく食事ができなくなったりすることは避けたいものです。
「あそび食べ」も「食べない」ことも、発達過程で多くの子どもが経験することですし、食べる量については個人差もあります。
保護者の悩みを受け止めつつ、そうしたことを理解してもらいましょう。また、今できる適切な対応をアドバイスして、保護者が子どもの食事と成長について長期的に考えられるように、援助していきましょう。
あそび食べは、発達上多くの子どもがとる行動とはいえ、おとなの気持ちを伝えることは大切です。そのつど「食べられなくなるからやめようね」「食べ物だからおてて入れないでね」などと伝えましょう。
【原因と対応】
おなかはすいている?
間食のおやつをだらだら食べていたり、外あそびなどの活動が少なかったりすると、食事のときにおなかがすかず、食べることに飽きてあそんでしまうことがあります。子どもが「おなかがすく感覚」を味わえるよう、食事以外の時間の過ごし方を、保護者といっしょに考えましょう。
食べる意欲はある?
食べるのに時間がかかったり、少食だったりする子は、食べる意欲がない、または食べ物に興味がないのかもしれません。保護者には、食事の量に神経質になりすぎず、少しずつでもバランスよく食べていればだいじょうぶと伝え、安心してもらいましょう。
そのうえで、食に興味を持つために盛りつけかたをくふうしたり、おとながおいしそうに食べるようすを見せたりするなど、アイデアを伝えるのもよいですね。
歯やあごの発達によって食べられないものがあったり、味覚が出てくるので一時的に好き嫌いをしたりする時期だと保護者に伝え、食べない=「偏食」と決めつけないようにお願いしましょう。べーと吐き出しても、味や感触は学習しています。あきらめずに何度でも食卓に出すことが大切です。
食べ方はどのタイプ?
「しっかり食べるけれど、食べるのが遅い」「だらだら食べはしないけれど少食」など、子どものタイプによって対応も変わってきます。「何歳だからこれだけ食べられる」といった基準はないので、個々のタイプを把握して、食事の量やリズム、ことばかけなどを保護者とともに考えていきましょう。
食べ物が成長・発達に合っている?
この時期の歯やあごの発達には個人差があります。子どもがきちんと奥歯でかめるようになるのは、乳歯が上下20 本生えそろってからなので、それ以前はかたまり肉などを避けるように、家庭でも協力してもらいましょう。
お話をしてくれた人

小野崎佳代先生
毎回多彩なテーマでお届けします。元東京都荒川区立保育園園長。現在は東京未来大学の実習指導教員として、保育者をめざす学生の育成にあたる。「子どもとことば研究会」会員。
イラスト/かまたいくよ 出典:『PriPri プリプリ』2014年11月号